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人に見せるものでもないと思ってつけているメモ。日記とブログの間

町の本屋

 住んでいる町の小さい本屋が廃業した。毎週仕事が休みの日に通っていたけど、その予告を聞いてからお店に通う頻度が増えた。棚をみるたびに気になる本との新たな出会いがあって、ここで本を選ぶ時間が好きだった。予定外の本も気になってついつい買い過ぎてしまうことも多かったし、無目的に立ち寄って本棚を見ているだけで豊かな気分になれた。ネット通販では得られない満足感があった。

 閉店の日が近づくごとにだんだん本がなくなってきて、客も増えて混雑する。ごっそりと抜けた本棚をおすすめ本の平置きで埋めていて、それもどんどん客が買っていく。

 最後の日は見たことがないくらい混雑していて、行きたい本棚にたどり着けないくらいだった。落ち着いてゆっくりと本を選べるのが好きだったけど、多くの人から愛されていたということだし、本屋にとっては良いことだと思う。最後まで店主は棚をさわっていて、本を選ぶことができた。

 本屋で棚を見ながら思いがけない本と出会うような体験、それを上回る満足感は、電子書籍やネット記事ではまだ得られていない気がする。実店舗で大型書店という生き残り方もあるけど、品揃えが豊富なかわりにノイズが多い店もある。信頼できる町の本屋の存在は得難いものなので、これからどうすればいいのか困っている。

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